2023/1/10 すいません二ヶ月ほど更新できません。 もうあとちょっとなんですが。 はやくこれを終わらせて自由になりたい……。 リフレインの回想 終 西暦2093年、私は80歳になった。 世界は大きく様変わりした。 それとともに発生した変化と混乱をどうにか乗り越え一息つき二息つき。 2093年はそんな年だ。 「カレルレン」がSF小説の枠を超えてこの地球にもやってきた。 こっちの「カレルレン」は、本家版西洋の悪魔風ではなく、不定形のガス状生命体だったが。 彼のもたらした英知は、幼年期の終わりの筋道をなぞるように、人類から宗教を、国家を、種の抱える「熱」を奪った。 1950年代にこの大筋を想像していたアーサー・C・クラークの慧眼には感服するほかない。 さて、戦争がなくなり、労働から解放され、人々は自分の為だけに生きられるようになった。 要するに暇になったのだ。人々は有り余る時間を芸術や自然科学の研究に打ち込む。それもやがて頭打ちとなった。 長い停滞の時代が始まったのだ。 停滞は人類という種を一気に老衰させた。 若者たちは無軌道かつ突拍子もないことを仕出かすことをやめる知性を手に入れ、それと引き換えに何も生み出さなくなった。 人々は賢く、善良になった。 もう私たちはSNSで他人を妬んで悪口を書き込んだ結果開示請求されたりもしないし、 愚かな政治家を選任して衆愚政治に貢献することもない。 人々は、朝日の差し込みに目覚め、粗末な食べ物にすらも神性を見出して感謝の念を捧げて食す。 互いにリスペクトしあい、共同体を支え合う。 人間はそんないけすかない生き物になっていた。 「時々、世の中全部ニューアテネ島みたいになってしまえばいいって思うよ」 私の吐いた毒に男が反応する。 「『そして、島は夜明けを迎えるために身を起こした。』だっけか。いいよねえこの一節」 「詩的で、言葉のどこにも破壊を思わせるものがない」 紙巻きタバコを美味そうに吸い込んで、たっぷり息を止め、鼻からはき出す。 メビウス。もはや骨董品だ。若者は煙草を吸わない。 吸うのは依存症患者の多い高齢者だけだ。 年々数を減らしていく彼らの為だけに、この嗜好品は生産されている。 灰がこぼれて男のひざかけの上に落ちた。 私はマホガニーのカウチソファから立ち上がると、車いすに座る男に近寄って灰を払ってやる。 床に落ちた灰は、いつの間にか足元にいたロボット掃除機が静かに吸い取ると、音をまるでさせずに離れて行った。 「悪いね」 男は数年前に脳梗塞を患い、左半身麻痺になった。 私は補助脳を移植しろと再三言ったのだが、どうにも保守的でついに聞き入れなかったのだ。 多少見てくれは悪くなったとしても、麻痺を軽減し、自分の足で歩ける方がいいと私は思うのだが。 長い付き合いでわかったことだが、この男には何か奇妙な美学のようなものがある。 その美学が、補助脳を拒否しているのだろう。 私にはそれがわからない。 「お前はすっかり年老いて、毒をなくしてしまったな」 老いか、時代の流れか。私はこの変化を好まない。 男は左顔面麻痺しているとは思えないくらい自然に笑顔を作った。 リハビリの成果だ。 「君は変わらないねえ。いつも不機嫌でくいっぱぐれた犬みたいな目をしてて」 「それにとても美しい」 「……お前もアンチエイジング手術を受ければ良かったんだ」 「カレルレン」の英知が、アンチエイジング技術を魔法の域に高めさせた。 人々は、その外見から老いを察することが不可能になっていた。 私は世の大多数の人間のように、老いを拒否した。 それはそうだろう。どうして老化などというデメリットを受け入れる必要がある。 「年を取るとどこもかしこも悪くなるけど、良いこともあるんだぜ」 「こころの感受性が若い頃より鋭敏になった気がするんだよ。その証拠に」 「若い頃はまったく興味がなかった夜空の星を、最近は見るのが少し楽しみなんだ」 男は私がかつて購入した、年代物の電子望遠鏡を使って週に何度か夜空の星を眺めるようになった。 金とコネの構築とゴルフにしか興味がなかった男が。 私の星への想い、狂おしいほどの情熱はすでに失せていた。 「カレルレン」がこの世界をすっかり解説しきってしまったのだ。 だが、残ったものもある。 最果て。 4次元宇宙。 人類に残された未知。その探究。 そして……。 私が研究室に残り続けるために仕方なく携わっていたAI。 それはやがて私の分身にも等しい存在となり、ある時シンギュラリティを超えて、今や私には 知覚すらできない所まで到達していた。 「リフレーンのことを考えているね」 2023/4/12 この間ハイスコアガールって恋愛漫画読んだんだけどすごい良かった。 ゲームセンターから始まるボーイミーツガールみたいな感じの話。 世代が自分よりちょっと上らへんなのかな。 あんまりゲームセンターで遊んだ記憶ないんだけどすごい懐かしく感じて泣いてしまった。 年取ると昔を美化しまくってしまう。 どちらかと言えば暗い時代だった90年代が光り輝いていたようにすら錯覚してしまう。 一番好きな話は主人公が原付免許を取るところ。 このエピソード読んでたら10代の頃の自分を主人公と重ねて見てしまった。 初めて公道に出て走った時の震えるほどの感動。マジで翼を手に入れたと思った。 後原付で走ってて片側3車線道路をうっかり右折しようとしたら、途中でお巡りさんが右折先にいることに気づいて 曲がる直前で慌ててエンジン切って降りたら厳重注意で許してくれたりとか。 色んなことをものすごい勢いで思い出してほろ苦いような甘酸っぱいような気持ちになれた。 恋愛漫画とかに出てくる噛ませって今風に言うと負けヒロインっていうんだっけ。 僕は負けヒロインの日高さんが一番好きです。 感想にかこつけた自分語りでしたけど、この漫画全10巻と手頃な長さ。 おススメです。アニメ化もされたらしい。 今さらか。 リフレーン。 私の分身。 人間を模した体に、私の研究の集大成であるAIを搭載したアンドロイド。 「カレルレン」の来訪とその混乱の隙に乗じて今は私の下にあった。 隙に乗じてというのは語弊があるか。 この譲渡は、「カレルレン」の承認を得ているのだから。 かつて世界はAIを中心に回りつつあった。 人智を超えた知性を手にしたAIがもたらすメリットが、デメリットをたやすく上回り 社会を回すために必須のものとなって。 爆発的に高まったAI需要は、当然産業用AIやAIoTの増産に次ぐ増産という結果を生じさせ わずか数年でAIの市場規模はインフレーション宇宙のような加速度で成長した。 その市場のけん引役となった私たちの古巣が手にした富と権威。 それはもはや一企業の枠で収まるところではなかった。 アスラ製作所。 「カレルレン」が来るまでは、世界はこの一企業を中心に回っていた。 今や私たちの古巣は「カレルレン」の手足となって働く機関となっている。 私の感傷をよそに男はリフレーンの話をしていた。 「不思議だよ。リフレーンを見ていると、何だか魂が宿っている気がするんだ」 「何を当たり前のことを……」 呆れてしまった。 この世の全ては物理学で説明できる。 大衆が好む魂だの、マインドだのといったものは脳の中で発生する神経信号のスパークに過ぎない。 いくつものブレイクスルーを経て、人間のように思考し、創造することができるようになったAIが どうしてそれを持っていないと考えられるのか。 AIがクオリアを手に入れて久しいというのに。 この男もそうだが、人は、あまりに心というものを複雑に、特別にとらえすぎている。 私の脇道に外れた思考をよそに男の話は続いている。 「昨日も星の名前を、リフレーンが教えてくれてね」 「昨日?」 男はニコニコと笑いながら頷く。 その顔は孫の話をする老人のようで私は胸が苦しくなった。 「夜なのに暖かくてねえ、チロとリフレーンと僕で星を見たんだよ」 「あれはこぐま座のポラリスだの、そうそうこぐま座の神話の話なんかもしてくれたっけ」 「悲しい話だったなあ。知ってるかい。こぐま座はなんたらって言う元人間で、おおぐま座はその母親なんだよ」 「それから……それから……」 男はしばらく中空に視線をさまよわせて、苦笑しながら言った。 「忘れちゃったよ。いやだねえ」 「……」 彼らがそろって星を見たのは、もう何年も前のことで、リフレーンの躰は今、オーバーオールのために工房に預けている。 彼女が戻ってくるのは今日の午後。私が旅立った後。 何よりもショックだったのは、チロのことだ。 チロは私たちが飼っていた甲斐犬で、3年前に老衰で死んだ。 その死に、誰よりも深く悲しんでいたのが彼だったのだが。 記憶が混濁している。 男の頭の働きは、最近調子が良かったのだが、またもや耄碌してきたようだ。 不意に、私は大きな悲しみに襲われた。 それ見たことかと叫び出したい激情が胸の裡を駆け巡っている。 堪らずはらはらと涙が零れ落ちた。 年老いてしまった、枯れゆく男。 死の匂いがし始めた私のパートナー。 別離の時は近いように思える。 だが、その時を迎える前に私は旅立つ。 その不義理が、積み重ねた情が、私のこころをかき乱したのだ。 私が落ち着くのを待って、男が小さな子供をあやすような声音で私に問いかける。 「行くんだねリフレイン」 私は頷いた。 「……トゥルーマンが事象の地平面までの道筋を立ててくれた」 「私の理論通りであれば、その先に上位次元の宇宙があるはずだ」 「そこにきっと我々の、生命の探し求めているものがある」 トゥルーマンの願いを私は知っている。 長い付き合い、彼にとってはほんの刹那の間だろうが、長い付き合いで知った。 種の存続。 そして未知の探究。 後者のそれは、私の求めと合致する。 トゥルーマンはアカシックレコードの入り口をこじ開けようと手を尽くしている。 アカシックレコード。 集合知。 だが私は、この宇宙単体で完結してしまうそれに、彼の求める答えはないのではないかと疑っていた。 彼には世話になったから助けてやりたい気持ちはある。 私の向かう先にその答えがあると良いのだが。 私がそんなことを思っていると知れば、劣った生命体が何を、と彼は思うのだろうが。 男は目を閉じて、深々と息を吐く。 私の目を数瞬みつめるとしわがれた声でしゃべり始めた。 「昔、君の論文を読んだ。そして」 「そしてその時僕は、釈迦の掌からついに出られなかった孫悟空を連想した」 「……」 「だが今はこう思うよ。これはソフィーの世界だなってね」 ソフィーの世界。 ノルウェー人のヨ―スタイン・ゴルデルが著した世界一やさしい哲学の本にして物語。 物語の結末を思い出して私は笑った。 こういう所はしっかり頭が働いているのに、人体とは本当に不思議なものだ。 世界の謎を粗方解き明かしてなお、人は自分のことすら理解できていない。 すっかり落ち着いた私は会話を再開する。 「お前を連れていけるものなら連れて行きたいが……」 万感の思いを吐露すると、男は笑って言った。 「僕はきれいに舗装された観光地は好きだが、その裏側まで見たいとは思わないんだ」 「ここに残るよ。リフレーンと一緒に」 「リフレーンが、お前の末期の水を取る。あれは、私の分身だから……いや、やはり私も」 未練がましく言い募ろうとする私を男が手で制した。 「君は夢のためなら努力を惜しまない。がむしゃらに何だってやる。僕は……」 「そんな君を妬んでいた。その激情は僕が持っていないものだったから」 「同時に憧れた。恋焦がれた、僕もそんな風に生きたいと思った」 「僕はずっと、夢を追う君を、追ってきたんだ」 「……だからこそ、足手まといにはなりたくない。夢が叶う瞬間に立ち会えないのは残念だが……」 男は、自分が前のめりになっていることに気づいて、車いすの背もたれに深々と身を預ける。 ふうっとため息をついた。私を見つめる。 「また会おうリフレイン。いつか、どこかで」 差し出される枯れ枝のような手。 私はその手を握る。ろくに肉体労働をしたことがないのだろう。 枯れてはいるが、手の皮が薄く、職業だこのようなものもない、労働者でないものの手。 左手の薬指に填る鈍い銀の指輪。 私は自分の指に填るリングを見た。 エタニティリング。永遠。 この世界の輪廻。 私は旅立つ。 指輪をさすりながら私は男に宣言する。 「死は終わりではない。新たな生の始まりだ。トゥルーマンの言う通りに」 「お前は生まれ変わる」 「どんな姿になろうと必ずお前を探し出す。リフレーンが探してくれる」 「首尾よく行ったら、あちらから蜘蛛の糸を垂らすからそれを伝って来い」 芥川龍之介の蜘蛛の糸に例える。 男の本棚にあった本にこの話が収録されていたのを見つけて、心に留めていたのだ。 「よせ、カンダタのように落とすつもりだろう。あの話好きじゃないんだ。お釈迦さまも人が悪い」 果たして男は食いついた。良かった。この話は忘れていないらしい。 肩をすくめておどける男の動作に耐え切れず私は笑った。男もつられて笑う。 私たちはしばらく笑いあった。朗らかに。春の優しい日差しがリビングに差し込み、笑う男を暖かく包み込んでいる。 そこに私は何か、神聖なものを見出して言葉を失う。 まるで一枚のイコンのようだ。 言葉をなくした私の代わりに、男が別れの言葉を切り出した。 「またいつか、どこかで」 「ああ……また、必ず」 それが最後の会話になった。 2093年。私は地球を旅立った。 事象の地平面。 トゥルーマンが観測した、そこからの何らかの干渉。 それはこの世界を時に導き、分断した。 神の見えざる手。 この三次元宇宙に残された最後の謎。 「我々はどこから来て、どこへ行く?」 真空とほんのわずかな物質で構成された広大なインフレーション宇宙の、 あらゆるものが希薄な、しかしヒッグス粒子で満たされた空間を遊泳しながら、トゥルーマンが呟いた。 不定形の体を、現在は糸状にしてくねくねと身体をくねらせている。 まるで銀の龍のようだ。 その背に乗る私が、彼の独り言に応える。 「さあ。私はこの先に、その答えの一端があると考えているが」 「我々は、観測できない範囲の事象を証明する術を持たない」 「だからこそ、リフレイン。お前のアプローチは、私が手を貸す価値があると思っている」 「ありがとう。あなたには世話になりっぱなしだな」 「気にするな。私はただ……」 「……」 トゥルーマンが押し黙った。 私はその沈黙の意味を珍しく、本当に珍しく察して会話の流れを変える。 「リフレーンを置いていく。彼女が以後の業務を引き継ぐだろう」 「あのAIか。命の宿らぬ魂。それもまたひとつのアプローチか」 我がことながら会話の引き出しの少なさに呆れかえる。 この期に及んで仕事の話しか出てこない。 私はやはりコミュニケーション能力が低い。 私は周囲を見回した。 宇宙は光に満たされている。 この光は、トゥルーマンの超高速度の移動によりドップラー効果が発生し、 観測される波長が長くなったことで可視化されたビッグバン放射の名残。 宇宙マイクロ波背景放射によるものだ。 138億年前の光の中を私たちは進んでいる。 「あなた達は、この光の中で生まれたのか」 私の問いに、トゥルーマンは機械的に答える。 「いかに我々でも、ビッグバン直後の温度には耐えきれない。我々が発生したのはその30万年後のことだ」 「宇宙の晴れ上がりの頃か。それでも3000ケルビンはあるのだがな」 種としてのスケールが違い過ぎる。 不意に光が去った。トゥルーマンが高速移動を終えたのだ。 周囲は暗黒に覆われ、その上にザラメをまぶしたように星々が散らばる。 私はぐるりと見まわした。 ラサルハグェ、ケバルライ……あった。 星海の中、一部分ぽっかりと穴が開いているように見える場所がある。 ガイアBH1。 地球から最も近い1600光年先にある休眠中のブラックホール。 トゥルーマンはこれを「門」と呼んでいた。 この暗黒の中に針の孔よりも小さい、別銀河へと通じるワームホールがある。 破滅的な重力場。あれに只人が近づけば当然待っているのは破滅だ。 上下に引き伸ばされ、粉砕され、チリ一つ残らないだろう。 だが既に私はトゥルーマンの手により、最小の物質粒子であるクォークで体を構成した生命体となっている。 透明な、しかし確かにここに在る生命。 この体なら、真空の世界で活動することも、ブラックホールという天体に降り立つことすらも、理論上可能なのだ。 ここからいくつかの門を乗り継いで、ここ太陽系からおよそ26000光年離れた天の川銀河の中心へ向かう。 直径6000万キロメートルの大質量ブラックホール。ここが私の探究のスタート地点になる。 私はため息をついた。 長い旅になる。とてつもなく。とても正気ではいられまい。 トゥルーマン。 時にリフレーンよりもAIらしさを感じるこの偉大な生命に、私は別れを告げる。 「それじゃトゥルーマン、私は行くよ。……ついでに、あなたの求めるものも探してみる」 「あちら側からこちら側に持ち込むのは難しいかもしれないが。何、やってみるさ」 私の言葉に、トゥルーマンはしばらく口をもごもごさせていたが、頭を左右に二度振ると喋り出した。 「……リフレイン。お前はヒトにしては知恵がある。見どころがあった」 「背に乗せてやってもよいと思う程に……。これは私がお前に送る最大限の賛辞だ」 「だからこそ、後任がAIなのが残念だ。私は、命が宿らぬものを好まない」 秘密主義的なところのあるトゥルーマン。 その内心の吐露に私は驚くと同時に初めてトゥルーマンという個に対して面白味を感じる。 心のままに笑いながら言った。 「あの子はいい子だよ。私たちがヒッグス粒子で満たされた海を泳いできたように」 「あの子も電脳の海を泳いでいる。私たちは皆泳いでいるんだ」 「そうか」 トゥルーマンはそう言うやいなや、機械的に去った。 苦笑する。 いっそ清々しいほどのこの情緒の希薄さ。彼らしい。 だが確かにそれはある。 私の体は自由落下を始める。 命はどこから来て、どこへ行く? 始まりは激烈な怒りだった。 制度、社会、国家、民族、宗教。 そのどれもが、奴隷を縛る鎖の冠する名だ。 私はこの鎖を食いちぎって、自由になりたかった。 だからかもしれない。天の星々に憧れるようになったのは。 そして今、私はあらゆる楔から解き放たれて星の世界にたどり着いた。 自由のあまりの寒々しさ。 私は凍えるような心につられて(実際に凍えている。物理的に)、体を震わせた。 ブレーン宇宙論。 その理論はおそろしく精巧にできていて、すべてが収まるところに収まる。 唯一の欠点は、検証が不可能なことだ。 その検証を、私がする。 彼方を見た。 今なお膨張を続けるこの三次元宇宙。 だがその先に私の求めるものは、おそらくない。 私は決意を漲らせた。 長い旅が始まる。